
タンネリで嗅覚の温度差を感じた
≪フェズ2日目≫
朝食を食べるため8:30ごろに一階におりた。人が多くて忙しそう。
この日の朝食はパンが全て不味くて、あまり食べられなかった。
とりあえず散策しよう!タンネリを見に行こう!と出かけてみた。
フェズはめちゃくちゃ暑い。日がささない場所も空気が熱いのだ。
タンネリに行くまでの道はかなり迷った。
いろんな人が「あっち!」「そっちじゃない!」と教えてくれるが皆胡散臭く見えて素直に聞けない。
かなり疲れてきたときに「ここ!上から見えるよ」と誘われて、『もうお金払うからええわ、見せてくださーい』と少しやけくそな気持ちで革工場の屋上に案内してもらった。
思ってたより小さいタンネリだった。

そしてめっちゃ臭い。(らしい)
鳩の糞が薬剤代わりに使われているので臭いようだ。
色も鮮やかではないけど、確かに革を漬けて加工していた。
おお〜これが有名なタンネリですか。と眺めていたが何をすることもないので、すぐに下へ降りた。
すると「案内する」と他の人が現れて突然ツアーが始まった。
タンネリの現場まで連れて行ってくれた。

もーりーは強烈な匂いに吐きそうだと言い、私は鼻が悪いので「あ、ちょっと臭いかも〜臭いのは新鮮だ」と思いつつ彼に着いていく。
そう、私の嗅覚は物心ついたころからかなり鈍い。子供のころに毎日鼻血を出していたからなのか、慢性鼻炎なのか、理由はわからないが殆どの「匂い」がわからない。
だから「あ、この香りはあの人の香水と同じ、、、」と誰かを思い出すこともなければ、電車などの密室で体臭がきつい人が乗ってきてもわからないのである。
この体質?は発展途上国の悪臭や劣悪トイレでも気分が悪くならず、旅にはとても重宝している。
しかしパクチーやスパイスの香りも感じないので思い出に「香りフォルダー」がないのがさみしいところ。全く風情がない。
あと普通に自分の持ち物が臭くても気づけないのが欠点である。
マジで何のための鼻なのか、もはや付け鼻やん。
私がゆっくりタンネリを見学している横で旦那は『はよ帰りたい』と白目を剥くような事態が発生するのだ。
この液体に落ちたら終わりだなと思ってそろそろ歩いていたけど、ふつうに液の中で作業している人たちがいるのでそこまで体には悪くなさそう。

一通り案内してもらい20dhを渡すと「ありがとう!ようこそ」と笑顔で去っていった。
また歩いてさらに大きなタンネリへ。案の定「屋上から見えるよ」と言われたのでいくらか聞き、1人10dhで見せてもらうことにした。
タンネリは革加工工場や建物に囲われており、ふらっと歩いて見れるものではないようだ。
周りの建物の屋上からしか見えないので、さっさとお金を払って見せてもらうのが手っ取り早い。
ミントをひと束もらい、匂い消しに使う。

嗅覚0の女と臭さに笑顔も作れない男。
こちらのタンネリはネットでよく見る方の大きな場所だった。なかなか面白い。

パレットのように色数が多い。そのあと革でできた財布を3つ買う。
もータンネリは満足だなーということで、街を歩く。この日は閉まってる店が多かった。
やっと手頃なレストランを見つけたので入る。
タジン40dh、うん、これは妥当だ。量もかなり多く夜ご飯がいらないくらい満腹になった。
疲れたので宿に戻って昼寝をしてちゃんと寝過ぎた。

夜はワインと簡単なアテにしようと、野菜とオリーブを買いに出かけた。オリーブはひとすくい5dh、トマトとオレンジを買って帰る。
宿のテラスは夜風が気持ちよく最高だった。飲みながら1時間ほど話して、猫を見にいってから寝た。
フェズのホットスポットを発見
≪フェズ3日目≫
昼過ぎに出かける。
もう何も目的もないし土地勘もできて気軽に歩けた。そうすると、とたんに魅力的な街に見えてきた。(遅い)
この日はついに安くて美味しいローカル店が立ち並ぶエリアを見つけた!われわれとしてはとても嬉しい。

タジン屋さんに入ってエビとケバブのタジンを注文。サラダ・ジュース付きで45dgと50dh


めちゃくちゃお得!しかもとても美味しかった。
この安くていい店を見つけた時の高揚感は旅の醍醐味。
さらに歩いて美味しいヨーグルト屋も見つけた。

明日もこよう。
帰りに革細工屋にいって革のハギレをもらった。
銀細工を探してたら昼寝中の店主を起こしてしまい、交渉がはじまった。はじめはそんなにだったけど何だか急に指輪が欲しくなり、青い石のついた銀指輪を買った。130dh

宿に戻り少しパソコン作業。
夜はまたビールに合うアテを買いに行くつもりで出たが、安くて美味しいモロッカンサンドの店に吸い寄せられた。25dhは安い。

またまたビールのお供にトマトとオリーブを買った。猫の餌も買った。
晩酌してから猫に餌やりへ。
「ハッパ」「ハシシ」と大麻の誘いが絶えないが、全て断り猫で飛んでいた。
子猫が死んだ日
≪フェズ4日目≫
宿は私たち以外皆チェックアウトするようで1階は慌ただしかった。
数日前にsafety wingで申請した書類に不備があったので手続きしなおしたり、事務的なことをして過ごした。
昼過ぎに印刷屋へ行った。ヨーロッパのユーレイル乗車券を印刷する必要があったからだ。
あーもうすぐスペインか、モロッコにもう少しいたいな。
昼は昨日の安飯エリアにいき新たなモロッコ料理を食べた。

フェズ、いいとこかもしれん。
ヨーグルト屋に行くと、今日はもう売り切れたとのことだったのでアボカドジュース10dhを買った。これも美味しい。もーりーは宿の近くで牛乳プリン5dhを買っていた。


有名なミントティ屋に行ってみた。
夜はさっと済まして、猫の餌を2缶買ったので恒例の餌やりに行く。
宿近くの子猫3匹のうち1匹が激的に衰弱していた。地面にべたっと這いつくばるような姿勢でじっとしている。
かろうじて呼吸している感じで、餌を食べる体力がない様子。
熱中症?人に踏まれた?昨日まで目が開かないながらもひょこひょこ歩き回ってたのに、、、、。心配だが、とりあえず他の子猫と親猫は餌を食べてる。一度その場を離れた。
通りに出て他の猫にも餌をやる。
この時間帯になるとあちこちに猫の餌が撒かれている。街で猫に餌をやることはタブーではないようだ。
一通り餌をやり終えて、宿に戻り衰弱した子猫を見に行く。
さっきよりも生気がない。ぴくりとも動かない。よく観察すると口が少しだけ動いていて時折「ぐぁーっ」と小さな声を絞り出して鳴く。
これは死ぬのも時間の問題か、、、
毎日目にしていた子猫が死ぬ。
ふわふわして温かく柔軟に動き回っていた生き物は、見る影もなく不恰好なおもちゃのように不自然な体制で冷えて硬くなっていくようだった。
母猫は子猫に全く関心を持たず私たちに擦り寄ってくる。
子猫に寄り添ってやりなさいよ!見てるのも辛くなって宿に戻った。
≪フェズ5日目≫
朝ごはんをゆっくり食べて荷物をまとめる。今日は夕方に空港へ行くので、それまで宿に荷物を置いて近くを散策する。
昨日の子猫は、花壇に置かれていた。
やはり死んでしまった。
モロッコでは日常茶飯事だろうなと思いつつ、生きていた時の姿を思い出して悲しくなった。感染症か怪我で目が見えなくなっている子猫がたくさんいるのだ。
そしてお腹の大きな猫もたくさんいる。毎日猫が生まれている。野良猫に関しては日本より寛容だが、飼い猫でない分生き残るのは大変なんだろう。

洗剤と石鹸、フルーツなどを買いふらふら歩く。
ヨーグルト屋に3日連続で通った。店主は顔を覚えてくれて嬉しそうに「シュクラム」と言った。

ここのヨーグルトはおいしいし、安い。
その後猫と遊んで昨日の食堂で昼ごはんを食べた。
「君たち日本人だろ?顔見たらわかるよ、中国人じゃないね」と客のおじさんに話しかけられた。ここの人たちはアジア人を見分ける能力に長けている。

モロッコのタクシー闘争
宿に戻りダラダラ。4時に宿を出てブルーゲート前でInDriveでタケシーを呼んだ。空港まで73dhで送ってくれる!やったね。
実は宿のオーナーにタクシーだといくらかかるか聞いた時に「200はかかるよ!手配しようか?」と言われていたのだ。
おそらくゲート前に集まっている赤タクシーなどもメーターで走らせるけど100は越えそう。私たちの手持ちは77dhなので、迷わずInDriveを使う。

ここで事件発生。
空港行きタクシーのナワバリでもあるのか、ずっとタクシーの呼び込みをするおじさんが付き纏ってくる。
配車した車が来た時も近くで電話片手に見張っていたので運転手が「移動するからこっちにきてくれ」と逃げる始末。
私たちがアプリの位置情報をもとに車の方へ移動すると、おじさんも追跡してきたのだ!こ、こわい、、、
こんなことしてる暇があったら他の客を探せよと思うくらいついてきた。
なんでも、InDriveで仕事をしている運転手に対して嫌がらせをするらしい。やっとのことで撒いてタクシーに乗り込む。
空港まではスムーズにとても快適なドライブだった。30分ほどでついた。車に乗る前の一悶着の方が時間がかかったんちゃうか?
空港は小規模だが綺麗だったが、水汲み場はなかった。
ライアンエアなので機内持ち込みのサイズ審査は厳しい。もーりーは荷物を詰め替えてようやくOKが出た。それさえクリアすればあとは問題なく搭乗まで待つのみ。
ついにヨーロッパ上陸
飛行機は定刻より少し早く離陸して、スペインのマドリードには23:30ごろに着いた。
あーモロッコ旅、終わっちゃったー。あっという間にヨーロッパかぁ。
この日は日が昇るまで空港泊。前日の疲れもあり4~5時間寝れた。
エアビーのオーナーさんがいい人で、「せっかくのハネムーンを台無しにしたくない!朝8:00に待っています」と融通を利かせてくれて、かなり早めのチェックインをすることができた!ありがたい~
私たちは「たっぷりマドリード観光ができるぞ!」と意気込んだ、この後何が起こるかも知らずに。